2019年5月14日

まるっとくんだよりvol.23 巻頭コラム

大みそかの夜、22歳の自分にはどうにもならない、支払いを待たせている業者の人達から逃げたのであります。マフラーの取れたボロボロの軽自動車に乗り、仙台を過ぎ名取を過ぎたあたりで車は止まった。ガソリン切れであります。それすらも気が付かなかった。ポケットに3,000円入っていました。明日の朝、この3,000円でガソリンを入れて何処へ行こうか・・・車のラジオから紅白歌合戦のトリで森進一の“おふくろさん”が聞こえて来る。“お前も、いつかは世の中の傘になれよと教えてくれた~”とめどなく涙が流れて来ます。しばらく歩いて気が付くと、近くに波の音が聞こえて来ます。海に向かってひたすら歩き続けました。辺りには家もなく、数時間歩き岩場の上にたどり着いた時、薄明るい水平線から朝日が顔を出し始めます。ゆらゆらと昇り出て来る大きなご来光。吸い込まれそうな、そしてこんな自分を笑って励ましているような“こんな俺にも将来があるよ!!明るい将来がある!!”と言っているような暖かい太陽でした。私は下を見てうつむいてしまいました。私の両方の靴がシミ濡れるほど、ボタボタと落ちて来る涙を見た時、思わず太陽に向かい大声で「助けてくれー!!」と命乞いをした次第であります。次の瞬間「石の上にも三年。お前の土俵を築け」との、あの辛い時すがった高校の担任の先生の言葉が脳裏を走りました。いや、聞こえたのであります。-私は今日まであまりに人の力ばかりに頼って生きて来た人便りの人間だった―その時痛烈に反省しました。

続く

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